Friday, July 16, 2010

沈まぬ太陽 -会長室編-

沈まぬ太陽の完結篇。

沈まぬ太陽 -会長室編-
山崎豊子 著
新潮文庫


「空の安全」をないがしろにし、利潤追求を第一とした経営。御巣鷹山の墜落は、起こるべくして起きた事故だった。政府は組織の建て直しを図るべく、新会長に国見正之の就任を要請。恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。会長室の調査により、次々と明るみに出る不正と乱脈。会長の国見と恩地はひるまず闘いを続けるが、政・官・財が癒着する利権の闇は、あまりに深く巧妙に張りめぐらされていた。不正疑惑は閣議決定により闇に葬られ、国見は突如更迭される。。。

大企業になるほど改革は難しい。企業は、決して一日で成り立ったものではなく、
長い時間かけて形成されたものである。その体制を崩すのは、並大抵のものではないだろう。当時、電電公社や国鉄など多くが民営化へと変わっていったのを覚えているが、その裏側にはどんな苦労があったものかと思う。ここで登場する国民航空もその一つであり、官僚、政治家とも深く関わっている為に様々な人の思惑が飛び交う。結局のところ、やはり一筋縄ではいかなかった。会長は更迭され、そして恩地も、、、しかし、そこには自分の意思を曲げない人達がいた。こんなに様々なことがあるにも関わらず会社から離れない人達。どれだけ愛社精神が強い人たちなんだろうか。私にはできないことであるし、今の人達にも愛社精神は薄れてきているのではないだろうか。何がそこまで思わせるのだろうか。



民主主義がアフリカ経済を殺す 最底辺の10億人の国で起きている真実

引き続き開発経済学関連。

民主主義がアフリカ経済を殺す 最底辺の10億人の国で起きている真実
ポール・コリアー (著)
甘糟 智子 (翻訳)


正直、ポール・コリアー氏の論理は、すんなり頭に入ってこない。
今回も難しくて、読んではすぐに止めてしまう。それが続いた。
なぜか分かった。彼の話は政治経済学に近い。特に今回の本は、そんな内容。
私がよく分からない分野だ。
確かに世の中は政治と暴力が絡む。特に途上国の国々は。
私達には、何もできないのだろうか。。・。

地球全体を幸福にする経済学―過密化する世界とグローバル・ゴール

プロジェクトを進める中で、開発経済学に関してもっと読みたくなった。
「貧困の終焉」の次編。

地球全体を幸福にする経済学―過密化する世界とグローバル・ゴール
ジェフリー・サックス (著)
野中 邦子 (翻訳)


最近、このような本を読む中で、強く感じることがある。
それは、地球が抱える様々な問題を解決するためには、政府・企業・NGOなど様々な機関の協力が必要だということ。
この本の中で最後にサックス氏は言っていた。「企業による社会貢献がいちばん効率よく機能するのは、慈善家、ドナー組織、民間企業といった複数のパートナーによる全般的な開発援助の一員として活動したときだった。」

Sunday, July 4, 2010

ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄

本屋で目に止まった一冊。アフリカをもっと知りたいと思ってた時期だったので、読んでみることにした。


ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄
白戸 圭一 (著)
東洋経済新報社


特派員として四年間アフリカに滞在していた筆者が取材してきたことをまとめている。「暴力」を切り口にして。
私は、少しばかりアフリカを知っているとは言っても、内戦や紛争地帯には足を踏み入れてはいない。経済崩壊している地域にはいたが、治安という意味では比較的安定していた。内戦と紛争地帯の現状は一体どんなだろうと考えたことはあるが、この本を読んでそのひどさと複雑な事情からなる現実に非常に衝撃的であった。これもまた現実。
しかし、筆者のこの最後に書かれたこの言葉。「アフリカの人々も我々と同じく喜び、悲しみ、悩み、怒りながら生きている。」そう、悲惨な現実の中でも、同じように生きる人たちがいる。そうなんです。私は、それもまた同じように知って欲しいと思う。