Thursday, August 27, 2009

人はなぜ恋に落ちるのか?

たまたま読んだ日経コンピュータでとりあげられていたアメリカの人類学者が書いた本である。
恋愛についてずっと研究しているとのことで、一体どんな研究をしているのか非常に興味がわいた。

人はなぜ恋に落ちるのか?Why We Love?
ヘレン・フィッシャー 著 大野晶子 訳
ソニー・マガジンズ


人はなぜ恋に落ちるのか、それをずっと研究してきたヘレン博士が今までの研究結果をまとめた内容である。恋に落ちた人々からの調査情報や脳スキャンなどの科学的結果、また動物や過去の歴史など様々な観点で、人間の恋について述べている。

正直、人間の恋というものを科学的に調査し結果を述べていることに関しては、私はすんなりと受け入れられないものを感じた。恋している人達の脳をスキャンして、ドーパミン量などの発見があったところでどうなん?と考えるからである。今後、ドーパミンの量でその人が本当に恋に落ちているかどうかを図るようになるのだろうか。。。
恋の感情は人によって異なるものだし、それが不思議でありながらも面白いものだと私は思う。調査して、標準はどうこうとかはあまり関係ない、気にしない方がいいのではないかと思う。ただ、この本の中でいくらか非常に興味深い調査結果もあった。私が印象に残った話をいくつかあげてみる。
①ウエスト:ヒップ=7:10 女性のウエストとヒップは遺伝的な要素が大きいが、排卵期になるとウエストはより70%に近づくという。これは、この割合が一番赤ん坊を身ごもる可能性が高いからとう説がある。
②男性は、左右対称なものに魅力を感じる。肉体的な左右対称である。実は、これは人間も昆虫も同じである。
③女性は、排卵期は優秀な遺伝子を持つ男性に惹かれて、ほかの時期は献身的な男性を求めるという。それは、やはり優秀な子孫を残し、そして育てていくという役割を本能的に果たそうとしている結果である。
やはり、人間(女性)も、子孫を残すという本能的な影響をどこかで少なからず受けているというのは、非常に面白くないだろうか。

Saturday, August 15, 2009

沈まぬ太陽 -御巣鷹山篇-

沈まぬ太陽の第三篇。
今回から舞台は日本に移る。そして、問題の御巣鷹山での日航機(小説では国民航空)墜落事故の話へ。

十年に及ぶ海外僻地への左遷に耐え、本社へ復帰する主人公の恩地。せっかく本社に復帰したものの、仕事はほとんど与えられない窓際社員。変わらず非常に辛い日々が続く。そんな中、ついに航空史上最大のジャンボ機墜落事故、犠牲者は五百二十名が起きる。壮絶な遺体の検視、事故原因の究明、非常な補償交渉。恩地もまた、救援隊として現地に赴き、遺族係を命ぜられ、想像を絶する悲劇を目にする。

実際に事故が起きたときのことを、私はうっすらと覚えている。TVで放映されていた小学生くらいの女の子がヘリコプターで引き上げられている様子が目に浮かぶ。それ以上の詳しいことはあまり覚えていない。今回、この本を読みながら、事故が起きたときの様子、そしてその後の遺族、関係者達の苦悩を少しでも感じることができた。とは言え、決してそれはほんの一部であると思うが。実際の苦悩は、やはり実際に体験してみた人でなければ分からないだろう。
この本は、涙なしでは読めない。私は、駅で、電車の中で、公園で。時間があればどこでもこの本を読んでいたのだが、涙流しながら読んでいる私を、周囲の人たちは不思議そうな目で見ていた。

Thursday, August 13, 2009

ジェネラル・ルージュの凱旋

「チーム・バチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙」と続いて第三作目。映画化もされた。映画はまだ観ていないけれど、その前に小説を読んでおこうと買った本である。

ジェネラル・ルージュの凱旋
海堂尊 著
宝島社


「ナイチンゲールの沈黙」で登場してきた伝説の歌姫が東城大学医学部付属病院に緊急入院した頃、不定愁訴外来担当の田口の元に匿名の告発文書が届く。同期である救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという。高階病院長から依頼を受けた田口は調査に乗り出す。

「ナイチンゲールの沈黙」でも話をしたけれど、やはり「チーム・バチスタの栄光」のときのようなドキドキ感はない。ミステリー大賞受賞とは書かれているけれど、決して殺人が起こってその謎を解き明かすようなものではない。今回は、病院における賄賂問題の真意を問う中で、病院における内部の問題を明らかにしている。
私の期待しているミステリーとは少々異なるが、やはり医療現場のリアリティあるれる描写と、その現場で働く人々の様々な葛藤が見れるところが非常に面白い。そういう意味で、私は彼の小説が好きである。
大好きな竹内結子が主演している映画も是非観てみないと。



Monday, August 10, 2009

沈まぬ太陽 -アフリカ編-

山崎豊子さんの本は「大地の子」を読んで以来。「大地の子」では、綿密な調査の基に書き上げられた社会的問題を題材にしたストーリーに涙をするばかりだった。
今回たまたま本屋で彼女の本を見つけて、かつ”アフリカ”を舞台にしているということに非常に惹かれてしまった。更に少しあらすじを読んでみると、今回は日航機墜落事故の話を題材にしているという。長編ではあるけれども、これはもう読むしかない。

沈まぬ太陽 -アフリカ編-
山崎豊子 著
新潮文庫


国民航空社員である恩地元。会社に忠実に働こうとしする彼は、突然組合の委員長に抜擢され、組合員の労働環境改善のために組合活動に熱心に取り組む。しかし、その活動が役員に対してやりすぎたために、中近東、そしてアフリカへと内規を無視した転勤を命じられる。彼が海外転勤を命じられるようになった背景と、僻地での彼自身の葛藤をこのアフリカ編では述べられている。

日航機墜落事故とどう関係があるのだろううか、、と少々思いつつも、現実にありそうな話であるために、この主人公 恩地元の気持ちは如何ほどだろうかと考えながらどんどんと話が読み進んだ。私自身、恩地のような経験はない。そして、仕事において政治がからんでいるのを直接感じる立場でもなかった。しかし、そのようなことは往々にしてあり得ることであり、あってきたことであろう。それに対して、正面から向かっていた恩地の強さに感銘を覚える。僻地へ勤務になって家族に苦労をかけても、10年経っても、自分を信頼してくれる組合員のためを思って、決してその意思を変えることのない彼の姿は、本当に素晴らしい。

どうやら秋に「沈まぬ太陽」の映画が上映されるらしい。知らなかった。なんともタイミングよく小説を読んでいたようだ。



Sunday, August 2, 2009

ナイチンゲールの沈黙

「チームバチスタの栄光」を書いた海堂尊の二作目。時間に余裕ができるまでっとずっと我慢してたけど、どうしても待ち切れず、中古本屋で買ってしまって読んじゃいました。

今回の舞台は、大学病院の小児科病棟。そこに入院しているレティノブラストーマ(網膜芽腫:眼の癌)を患っている端人の父親が殺される。自宅で内臓を取り出され、部屋の隅に置かれるというまるで何かの儀式のような形で。生前の彼の父親は、失業中で借金に追われ、常に飲んだくれているというひどい父親。息子の命があぶないというのに、一度も病院に来ず。息子からも憎まれていた。一体誰かなんの理由で殺したのか。この事件解決のために、「チームバチスタの栄光」で出てきた田口医師と厚生省官僚の白鳥コンビが活躍する。

面白い。「チームバチスタの栄光」の推理していくときのドキドキ感みたいなものには欠ける。でも、登場する人達の人生の裏側やら感情が反映されてあり、少し複雑で理解に難しい描写とかあるが、つい話に入ってしまう。彼の作品は、今回の夏休みに読んでしまう予定です。