山崎豊子さんの本は「大地の子」を読んで以来。「大地の子」では、綿密な調査の基に書き上げられた社会的問題を題材にしたストーリーに涙をするばかりだった。
今回たまたま本屋で彼女の本を見つけて、かつ”アフリカ”を舞台にしているということに非常に惹かれてしまった。更に少しあらすじを読んでみると、今回は日航機墜落事故の話を題材にしているという。長編ではあるけれども、これはもう読むしかない。
沈まぬ太陽 -アフリカ編-
山崎豊子 著
新潮文庫
国民航空社員である恩地元。会社に忠実に働こうとしする彼は、突然組合の委員長に抜擢され、組合員の労働環境改善のために組合活動に熱心に取り組む。しかし、その活動が役員に対してやりすぎたために、中近東、そしてアフリカへと内規を無視した転勤を命じられる。彼が海外転勤を命じられるようになった背景と、僻地での彼自身の葛藤をこのアフリカ編では述べられている。
日航機墜落事故とどう関係があるのだろううか、、と少々思いつつも、現実にありそうな話であるために、この主人公 恩地元の気持ちは如何ほどだろうかと考えながらどんどんと話が読み進んだ。私自身、恩地のような経験はない。そして、仕事において政治がからんでいるのを直接感じる立場でもなかった。しかし、そのようなことは往々にしてあり得ることであり、あってきたことであろう。それに対して、正面から向かっていた恩地の強さに感銘を覚える。僻地へ勤務になって家族に苦労をかけても、10年経っても、自分を信頼してくれる組合員のためを思って、決してその意思を変えることのない彼の姿は、本当に素晴らしい。
どうやら秋に「沈まぬ太陽」の映画が上映されるらしい。知らなかった。なんともタイミングよく小説を読んでいたようだ。
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