Saturday, August 15, 2009

沈まぬ太陽 -御巣鷹山篇-

沈まぬ太陽の第三篇。
今回から舞台は日本に移る。そして、問題の御巣鷹山での日航機(小説では国民航空)墜落事故の話へ。

十年に及ぶ海外僻地への左遷に耐え、本社へ復帰する主人公の恩地。せっかく本社に復帰したものの、仕事はほとんど与えられない窓際社員。変わらず非常に辛い日々が続く。そんな中、ついに航空史上最大のジャンボ機墜落事故、犠牲者は五百二十名が起きる。壮絶な遺体の検視、事故原因の究明、非常な補償交渉。恩地もまた、救援隊として現地に赴き、遺族係を命ぜられ、想像を絶する悲劇を目にする。

実際に事故が起きたときのことを、私はうっすらと覚えている。TVで放映されていた小学生くらいの女の子がヘリコプターで引き上げられている様子が目に浮かぶ。それ以上の詳しいことはあまり覚えていない。今回、この本を読みながら、事故が起きたときの様子、そしてその後の遺族、関係者達の苦悩を少しでも感じることができた。とは言え、決してそれはほんの一部であると思うが。実際の苦悩は、やはり実際に体験してみた人でなければ分からないだろう。
この本は、涙なしでは読めない。私は、駅で、電車の中で、公園で。時間があればどこでもこの本を読んでいたのだが、涙流しながら読んでいる私を、周囲の人たちは不思議そうな目で見ていた。

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