Thursday, October 13, 2016

ビジョナリーカンパニー


ビジョナリー・カンパニーとは:ビジョンを持っている企業、未来志向の起業、先見的な企業であり、業界で卓越した企業、同業他社の間で広く尊敬を集め、大きなインパクトを世界に与え続けてきた企業。
重要な点は、ビジョナリー・カンパニーが組織であること。

調査の対象となったビジョナリー・カンパニーのすべてが、過去のどこかの時点で、逆風にぶつかったり、過ちを犯したりしたことがあり、この本を執筆している時点で、問題を抱えている会社もある。しかし、ずば抜けた回復力がある。つまり、逆境から立ち直る力がある。

神話十二:
①「すばらしいアイデア」が必要
②ビジョンを持った偉大なカリスマ的指導者が必要
③利益の追求を最大の目的としている
④共通した「正しい」基本的価値観がある
⑤変わらない点は、変わり続けていることだけ
⑥優良企業は、危険を冒さない
⑦だれにとってもすばらしい職場
⑧綿密で複雑な戦略を立てて、最前の動きをとる
⑨根本的な変化を促すには、社外からCEOを迎えるべき
⑩競争に勝つことを第一に考えている
⑪二つの相反することは、同時に獲得することはできない
⑫主に、経営者が先見的な発言をしている

すばらしいアイデアを持っていたり、すばらしいビジョンを持ったカリスマ的指導者であるのは、「時を告げること」であり、ひとりの指導者の時代をはるかに超えて、いくつもの商品のライフサイクルを通じて繁栄し続ける会社を築くのは、「時計をつくること」

ビジョナリー・カンパニーの創業者はどこまでもねばり抜き、「絶対に、絶対に、絶対にあきらめない」を座右の銘としている。しかし、何をねばり抜くのか。答えは会社。
ビジョナリー・カンパニーが、すばらしい製品やサービスを次々に生み出しているのは、こうした会社が組織として卓越しているからに他ならない。

ビジョナリー・カンパニーを築くにあたって、とくに重要な方法は、行動ではなく、視点を変えること

「ORの抑圧」に屈することなく、「ANDの才能」
利益を超えた目的 と 現実的な利益の追求
ゆるぎない基本理念と力強い変化 と 前進
基本理念を核とする保守主義 と リスクの大きい試みへの大胆な挑戦
明確なビジョンと方向性 と 臨機応変の模索と実験
社運を賭けた大胆な目標 と 進化による進歩
基本理念に忠実な経営者の選択 と 変化を起こす経営者の選択
理念の管理 と 自主性の発揮
カルトに近いきわめて同質的な文化 と 変化し、前進し、適応する能力
長期的な視野に立った投資 と 短期的な成果の要求
哲学的で、先見的で、未来志向 と 日常業務での基本の徹底
基本理念に充実な組織 と 環境に適応する組織

ソニーの理念:「わが社のポリシーは、消費者がどんな製品を望んでいるかを調査して、それに合わせて製品をつくるのではなく、新しい製品をつくることによって彼らをリードすることにある。」(盛田昭夫他著「MADE IN JAPAN」)

収益力は、会社が存続するために必要な条件であり、もっと重要な目的を達成するための手段だが、多くのビジョナリー・カンパニーにとって、それ自体が目的ではない。利益とは、人間んの体にとっての酸素や食料や水や血液のようなものだ。人生の目的ではないが、それがなければ生きられない。

モトローラのように、ビジョナリー・カンパニーは、価値観を守るか、それとお現実主義に徹するかの選択を迫られているとは考えない。現実的な解決策を見つけ、かつ、基本的価値観を貫くのが課題だと考える。

ビジョナリー・カンパニーの理念に不可欠な要素はない。わたしたちの調査結果によければ、理念が本物であり、企業がどこまで理念を貫き通しているかの方が、理念の内容よりも重要である。

ビジョナリー・カンパニーの基本的価値観は、理論や外部環境によって正当化する必要などないものである。時代の流れや流行に左右されることもない。市場環境が変化した場合ですら、変わることはない。

トーマス・J・ワトソン・ジュニア(「事業とその信念」)
世界は変化している。この難題に組織が対応するには、企業として前進しながら、「その基礎となる」信念意外の組織のすべてを変える覚悟で臨まなければならない。・・・組織にとっての聖域は、その基礎となる経営理念だけだと考えるべきである。

・基本理念は、ビジョナリー・カンパニーが発展し、実験し、変化する際の基礎になる継続性をもたらし、これによって進歩が可能になる。基本理念を明確にし、揺るぎないものにすることで、基本理念以外のすべてを変化させ、発展させるのが容易になる。
・進歩への意欲があるから、基本理念を維持できる。絶えず変化し、前進しなければ、基本理念を維持する企業が激動する世界から取り残され、力を失うか、場合によっては姿を消すことになる。

企業が意図を持つのは、とてもよいことだ。しかし、その意図を具体的な行動に移せるかどうか、アメとムチを組み合わせた仕組みをつくれるかどうかが、ビジョナリー・カンパニーになれるか、永遠になれないままで終わるかの分かれ道になる。

組織を築き、経営している読者に向けた本書の主張のなかで、何よりも重要な点をひとつあげるなら、それは、基本理念を維持し、進歩を促す具体的な仕組みを整えることの大切さだ。これが時計をつくる考え方の真髄である。

環境に見事に適合したビジョナリー・カンパニーは、主に件名な洞察力と戦略的な計画の結果であると考えるよりも、主に以下の基本的な過程の結果だと考える方が、はるかに事実に合っていると思われる。つまり、多数の実験を行い、機会をうまくとらえ、うまくいったもの(そして、基本理念に適合するもの)を残し、うまくいかなかったものを手直しするか捨てるという過程である。

3M:
「個々人に自由を与え、自主的に考え、行動するように促せば」誤りも出てくる。しかし・・・長期的にみれば、経営陣が独裁的な指揮命令体制をつくり、従業員の一挙一動を指示していて犯す誤りに比べれば、個々の従業員の誤りはそれほど深刻にはならない。従業員が誤りを犯したときに、経営陣が雷を落としていると、従業員が自主性を発揮できなくなる。そして、当社が成長を続けていくためには、自主性を発揮する従業員が多数いることが不可欠なのだ。
アイデアを海だし、そして試験する力強い「体制を」築かなければならない。・・・考え出されたアイデアはすべて、その真価を問う機会を与えられなければならない。その理由はふたつあり。第一に、それがいいアイデアであれば、採用したい。第二に、いいアイデアでなかった場合にも、それが実際的ではないと証明できれば、一種の保険になり、安心できる。
採用できるアイデアは本質的に新しいものでなければならない。社会のニーズに合致したものであることを証明しなければならない。つまり、まともな問題を解決するものでなければならい。いくら革新的でも、「製品にならないもの、いつかだれかが用途を探し出すはずというもの」には、3Mは興味を持たない。
1.試してみよう。なるべく早く。
2.誤りは必ずあることを認める。
3.小さな一歩を踏み出す。
4.社員に必要なだけの自由を与えよう。
5.重要なのは仕組みである。着実に時を刻む時計をつくるべきだ。

経営のトップが変かと前進の先頭に立つようにするには、社外から経営者を迎えるしかない・・・と考えるのは落とし穴であり、この罠にひっかからないようにすべきだ。社外から迎えた経営者が、基本理念をなし崩しにしたり、くつがえしたりすることになりかねない。カギになるのは健全な変化と前進をもたらしながら、基本理念を維持するきわめて有能な生え抜きの人材を育成し、昇進させること

安心感は、ビジョナリー・カンパニーにとっての目標でhない。それどころか、ビジョナリー・カンパニーは不安感をつくり出し(言い換えれば、自己満足に陥らないようにし)、それによって外部の世界に強いられる前に変化し、改善するよう促す強力な仕組みを設けている

ビジョナリー・カンパニーの経営幹部は、短期的な業績または長期的な成功の二者択一が必要だという考え方を受け入れない。何よりも長期的な成功を目指しながら、同時に、短期的な業績についても高い基準を掲げている。

ビジョナリー・カンパニーは基本理念を維持し、進歩を促すために、ひとつの制度、ひとつの戦略、ひとつの戦術、ひとつの仕組み、ひとつの文化規範、ひとつの象徴的な動き、CEOの一回の発言に頼ったりはしない。重要なのは、これらすべてを繰り返すことである。

1.時を告げる予言者になるな。時計をつくる設計者になれ。
2.「ANDの才能」を重視しよう。
3.基本理念を維持し、進歩を促す。
4.一貫性を追求しよう。




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